きょうのこと


地下鉄に乗って、いつどうして降りたかどうしても思い出せないんだけど、気がついたら改札を抜けていつもの4番出口をさがして歩いていた。でも、4番出口がどっちだか全然わからなくて改札まで戻ってみた。自分が今どこにいるのかわからなくてココハドコ? 降りる駅を間違えていた。地下鉄の駅の中はどこも同じ色合いで、似た景色、寝ぼけていたのかな、わたし。電車の中で読んだ本がいけなかったのかも。切符を買いなおして、もう一度階段を下りた。

病院へ着いて家族控室へ案内していただいて手術が終わるのを待つ、3時間くらい。終わりましたよ、と呼ばれて行った部屋にニコニコ顔の先生がいて、机の上の膿盆に載せられた赤いもの。手術は予定通りにすすみ、これが取った胆のうです、と。開いた胆のうの上に黒くて小さい石がツブツブツブッと9つくらい。

それからまた少し待ってICUへ行くと、ベッドがいっぱい並んでいて、その中のひとつにダーリンがいた。眠っているように見えたけど、ナースに呼ばれると目を開けた。話しかけると返事をするけど、目は半開き、わかっているのかな? まだ、朦朧としているのかもしれない。痛い? って訊いたら、わからないって応えた。わたしに、きょうは汽車で来たのかと訊く。汽車で来たよ、って言ったら、そうか、と言って眼をとじた。そして、目を開けて、「看護師がみんな美人だ。」

病院選びは正解だったようだ。